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口頭発表

 

5、芸術作品や標本の説明を通じた美術館と自然史博物館の交流

 

高橋 晃

兵庫県立人と自然の博物館

 

自然史博物館ではさまざまな自然物の標本が保管されており、標本の科学的意義が研究され、その成果が展示・説明されている。標本は通常、自然によって作られた独特の美を備えているが、標本の美しさに着目した博物館での展示は稀である。他方、美術館には題材としていくつかの自然物を取り上げた作品は多数あるが、その自然物について詳細に説明されないのが一般的である。芸術作品で自然物が扱われる場合、自然史博物館のキュレーターや研究者は、自然科学の観点から作品について説明しようと試みることが可能である。また、自然によって作り出された美しさについて美術館のキュレーターが説明を行うことも、興味深い試みである。美術館と自然史博物館との間で標本と芸術作品を交換し、互いに説明し合うことによって、おもしろい結果がもたらされると思われる。美術館で私が行った、植物学分野から見た絵の解釈に関する事例を紹介したいと思う。