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口頭発表

 

10、アジアとアフリカにおける野生生物、棲息環境、文化の多様性の保護に不可欠な博物館と動物園の協力

 

西原 智昭

野生動物保護教育コンゴ・プログラム

 

博物館と動物園が教育機関として果たすべき最も重要な役割は、エキシビションで提供される情報を通じて、一般の人々の心と意識を変化させることである。どちらのタイプの機関も、生物科学と人文科学に長年貢献しているが、動物園と博物館の間での分野横断的な情報交換の取り組みによって、全地球の野生生物、生息地の保全および文化の保存に対する焦点を拡大することが極めて重要である。中央アフリカの森林生態系における重要な種であるマルミミゾウは現在、象牙の密猟のために絶滅の危機に瀕している。日本では、マルミミゾウの象牙は伝統楽器用として受け入れられ、好まれる種類の象牙であるため、日本の文化遺産の一部であると考えられる。日本の伝統における文化的価値を理解しつつ、マルミミゾウの保護のために直ちにアクションを起こすことが、マルミミゾウが生き残るうえで不可欠である。よって、文化、芸術、伝統について展示・情報提供を行う博物館は、野生生物と文化遺産との間のバランスを追求するために動物園と提携する必要がある。アフリカとアジアを結ぶ効果的な情報共有システムを作ることも急務である。日本国民として私が果たすべき役割は、アジアの動物園と博物館に保全メッセージを広め、アフリカの現地情報とアジアの文化を結び付けることである。