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口頭発表

 

13、人文系博物館・科学博物館・動物園連携事業「上野の山で動物めぐり」
I:東京国立博物館での文化財教育に対する試み

 

小島 有紀子

東京国立博物館

 

東京国立博物館は2007年から、上野動物園および国立科学博物館とともに、連携事業「上野の山で動物めぐり」を開催している。このイベントは、ICOMによって制定された国際博物館の日(5月18日)を記念して実施される。毎年、猿・ライオン・ゾウなど、ある特定の動物を取り上げて行っている。ツアーでは、それぞれの博物館と動物園が、行動、骨の構造、進化といった多様な観点から、同じ動物を紹介する。
東京国立博物館ではこのイベントのために、その年の動物をテーマにした特集陳列を実施している。そこでは、その動物が日本やアジアの美術や歴史の中でどのように解釈されていたかを紹介する。今年は来館者の作品への理解を促すために、文化財と同じようなポーズをとったサルの写真も追加した。
異なる分野の博物館の連携は、これまでに美術館や歴史博物館において行われることが少なかった、美術品を鑑賞するための複眼的な見方が確立されるなど、大きなメリットがもたらされる。このイベントは、新規来観客を獲得するうえでも有意義である。
この協力における難しい点は、当博物館の限りのある収蔵品で、適切な動物テーマを決定することである。