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JZAE

ポスター発表

 

7、動物園大学 -動物園学のすすめ-

 

田中 正之

京都市動物園 生き物・学び・研究センター

 

現代の動物園には、保全、研究、教育、レクリエーションという4つの重要な役割がある。日本動物園水族館協会(JAZA)も、この4つの役割を宣言している。京都市動物園はこの4月、新たなセクション「生き物・学び・研究センター(CREW)」を設立した。CREWは、いくつかの新たな教育プログラムをすでに開始している。この講演で我々は、中学校の科学クラブと協力して行われる、そうしたプログラムの1つを紹介する。このプログラムは、科学技術振興機構(JST)のサイエンス・パートナーシップ・プログラム(SPP)の資金援助を受けている。我々のプログラムに含まれるものは、1)ゾウの排泄物で作られた堆肥を用いた環境教育、2)死体を用いた初歩的な獣医学、3)チンパンジーのための環境エンリッチメント、およびいくつかの講義である。我々のプログラムの主なテーマは「本物の動物を感じること」であり、これは、動物園において可能なことである。我々は、動物園の霊長類動物での比較認知研究も紹介する。京都市動物園で我々は、チンパンジーとテナガザルとマンドリルで、アラビア数字を用いた系列学習の訓練を継続している。課題を与えると、参加動物は、タッチスクリーン上の数字をタッチする。この研究は、動物園の来園者に対して常に公開されている。我々は、こうした霊長類動物の学習状況に関して毎月議論を行っている。この研究を通じて、動物園の来園者に、人間と類人猿とサルとの間に見られる知能の類似性を理解してもらいたいと思う