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ポスター発表

 

14、チリモン・ワークショップ──いきものの観察を通して科学、環境、芸術への興味をうながす 

 

図師 宣忠

近畿大学文芸学部

 

本ポスターでは、日本の伝統的な食べ物「チリメンジャコ」を素材にした「チリモン・ワークショップ」の実践例を紹介し、生物多様性、環境、食、美術など多様な分野に参加者の関心を引き付けるこのワークショップの教育的効果を報告する。「チリメンジャコ」はカタクチイワシの稚魚を乾燥させた食べ物である。チリメンジャコ漁では、カタクチイワシ以外の多様な生き物が混獲されることがある。報告者のグループはそれらの混獲物を「チリメンモンスター」と名付けてワークショップに用いてきた。「チリモン」はその略称である。
基本的なチリモン・ワークショップでは、参加者はさまざまなチリモンをピンセットで選り分けて、虫眼鏡や顕微鏡でかたちや色をじっくりと観察し、種類の同定を目指す。きしわだ自然資料館でチリモン・ワークショップが開始された2004年以来、このワークショップは日本全国に広がり、主催者ごとにさまざまな工夫が加えられながら新たな展開を見せている。たとえば近年では、チリモン・ワークショップは芸術大学や美術館などでも行われるようになってきた。そこでは見つけ出したチリモンをスケッチするなどの創造的活動を通して、海の生物や環境に関心を持ってもらう手法がとられている。
本ポスターは、このような分野を超えたチリモン・ワークショップの多面的なアプローチに関する事例紹介のほか、新たな取り組みとして開発された「チリモン・ウェブ図鑑」についても紹介したい。