第55回日本動物園水族館教育研究会 仙台大会 開催報告
仙台市八木山動物公園の共催で開催された第55回仙台大会は、東京エレクトロンホール宮城にて2014年12月13〜14日で行われました。大会のテーマは「ふれあい型体験学習とその運営」。2017年度に同動物公園内にて完成予定である、ふれあい型学習施設の開業を睨んだものでした。全国各地から100名を超える参加者が、雪がちらつく冬の仙台に集いました。今回は19本の口頭発表をテーマ別に大きく5つのセッションに分け、発表後にセッションごとの質疑応答を行うという形式をとりました。ポスターセッションも12本の発表があり、会場が狭く感じるほど盛り上がりました。
大会テーマ「ふれあい型体験学習」については、その多様性を強く感じる研究会でした。動物園の事例も水族館の事例もあるため、対象動物は海棲無脊椎動物、魚類、昆虫、イモリ、トカゲ、モルモット、イルカ、ヤギ、そして標本まで多岐にわたり、ふれあいによる学習のねらいもさまざまでした。またボランティアが活躍する事例や、効果測定方法、理論に関する発表もありました。本研究会での情報交換や交流を通じて、今後のさらなるプログラム開発と、すでに行われているプログラムの改善が期待されます。
総会は、事務局移転と役員改選後に開催された初めての会であり、高橋会長より「Zoo教研の未来に向けて」と題したプレゼンがあった。国際化、関係団体との連携、学会化の3つを推進していくとともに、役員を6つの担当に分け、今後のZoo教研が動物園水族館教育を牽引していく組織となっていくために、責任を持って各事業を推進していく姿勢が示された。
2日目午後からのオプションツアーは「冬の渡り鳥観察会 シジュウカラガンを化女沼で見てみよう」と題し、化女沼や蕪栗沼(宮城県大崎市)周辺でマガンやシジュウカラガンなどの採餌行動観察やねぐら入りを観察した。特にシジュウカラガンは、今回のホストである八木山動物公園が羽数回復事業に長年にわたり取り組んでおり、2014年は1つの個体群を最低限維持するのに必要と言われる1000羽以上の飛来が確認された節目の年でもあり、期待が高まった。2班に分かれ観察したうち片方の班しかシジュウカラガンを見ることはできなかったが、1万羽ものマガンたちがねぐらいりのために日没前に一気に集結している様子を観察することができ、貴重な湿地と採食場所の田んぼでは、ガンやハクチョウたちの息づかいを間近に感じることができた。教育活動を担う我々自身が、野生動物たちの生きざまに素直に感動し、域内保全に取り組む方々と思いを共にする大切さを実感したツアーであった。
(報告者:三浦乃莉子、赤見理恵)